台湾のニュースには、外国人には分かりにくい単語がたくさん出て来ます。
そういった単語を理解すると、ニュースのより深い意味が分かって面白いですね⁉
ここでは、最近のニュースで出てきた「國安會秘書長」について書きたいと思います。
まず、 「國安會」 についてです。
「國安會」とは、國家安全會議の略称で、台湾の安全保障政策を決定する総督府直轄の機関です。
1993年に制定された台湾の「國家安全會議組織法」では、以下のような定義がなされています。
- 「國家安全會議」とは、「国家の安全保障に係る政策方針を決定するための諮問機関」である
- 「國家安全(国の安全保障)」とは、「国防、外交、両岸関係および国の重大な非常事態に係る事項」のこと
- 会議に出席するメンバーは、「副総統、行政院院長、行政院副院長、內政部部長、外交部部長、國防部部長、財政部部長、經濟部部長、陸委會主任委員、參謀總長、國安會秘書長、國安局局長」とする
台湾でのニュース報道でたまに、
國安會秘書長(日本語:国家安全会議書記長)
が出てくるのを見聞きします。
國家安全會議の「主席」(日本語:議長)は総統ですが、実際にその実務を果たしているのが、この「 國安會秘書長」です。
この「秘書長」は、総統によって直接任命されます。
その職責は、「國安會」でなされた決議に基づき会務を処理し、組織内の指揮・監督を行うことです。
なので、総統の側近中の側近ということになります。
その下には、これを補佐する1~3人の「副秘書長」と5~7人の諮問委員が置かれています。
最近、この「國安會秘書長」の顧立雄氏と外交部長の吳釗燮氏がアメリカを極秘訪問し、2021年9月10日(東部時間)、台湾がアメリカに置いている外交窓口機関「台北経済文化代表処」を「台湾代表処」とする名称変更についてアメリカ国務院の高官と話し合いを行ったことが公に報道されました。
この話し合いはワシントン近郊のメリーランド州の州都であるアナポリスで行われました。
9月13日付けの台湾ヤフー新聞では、
未料正好碰到美國總統拜登9日晚上10時(美東時間)主動致電中國大陸國家主席習近平,以致本來幾乎已經水到渠成的「台灣代表處」(Taiwan Representative 0ffice) 升格案恐怕會成為泡影。
日本語訳:思わぬことに、アメリカ大統領のバイデンが正にその前日の9日夜10時(東部時間)に中国大陸の国家主席・習近平と電話会談を行ったため、機が熟したと思われていた「台湾代表処」への名称変更の件は期待外れとなりそうだ。
yahoo新聞より引用
台湾側はバイデンの電話会談についての情報を事前に把握できていなかったと報道されています。
そして、この「密談」はイギリスのフィナンシャル・タイムズによって把握&報道されたため、公のニュースとなっています。
以上、「國安會秘書長」について書きましたが、分かったところで改めてこのニュースを見てみると、台湾が今回のアメリカとの会談をかなり重視していたんだなと感じます。
また、台湾が板挟み状態で難しい舵取りを強いられている様子が伝わってきます。