この間、台湾で初めてバンレイシ(別名:釈迦頭)を食べてみました。
バンレイシは何度も果物屋さんで見てはいたんですが、ちょっと高めなので買ったことはありませんでした。

日本では滅多にお目にかかれないフルーツなので、
「どんな果物なの⁉」
という方のために、ちょっとご紹介します。
名前の由来
バンレイシは、漢字では「番荔枝」と書きます。
1文字目の「番」は、「番邦(つまり外国)」を指しています。
古代中国では、外国のことを「番邦」と呼んでいたそうで、外国から伝わって来た果物という意味があります。
後半の「荔枝(レイシ)」は、中国語で皆さんもよくご存じの果物の「ライチ」の事です。
中国語では、
荔枝:ライチ
リィジー
と言います。
つまり、まとめると、
外国より伝来のライチ
という意味になります。
なぜ、ライチと呼ばれたかというと、小さいうちの果実がライチにそっくりに見えたからだそうです。
下の写真を見比べてみてください。


確かに似てますね。。
左が、実が小さい時のバンレイシです。
また、別名で「釈迦頭」とも呼ばれますが、これは実のデコボコがお釈迦さんの頭に似ているからだそうです。
台湾では中国語で、
釋迦:バンレイシ
シージャー
と呼ばれています。
バンレイシのルーツ
台湾の『台湾府志』(1685~1764年の間、当時の台湾府によって記述された歴史文書)によれば、オランダ人によって台湾に持ち込まれたそうで、その栽培には400年ほどの歴史があります。
原産地は中南米ですが、今では広く熱帯・亜熱帯地方で栽培されています。
台湾の産地と収穫期
台湾のバンレイシは品質と生産量が共に世界一と言われています。
収穫期は夏と冬(8月~3月)で、11~2月が収穫の最盛期です。
木によっては1年に2回収穫できたりします。

バンレイシは温暖で乾燥した環境を好むため、栽培には寒い日でも霜が降りず、かつ日光が当たる水はけの良い砂地が適しています。
また、枝葉が弱く強風が吹くと傷つくので、風当たりが強い場所での栽培は向いていません。

主な産地である台東県では、卑南鄉、東河鄉、太麻里鄉で栽培されていて、その多くが日が当たる水はけのいい山の傾斜地に植えられているそうです。
バンレイシの主な産地は台東県ですが、台南市歸仁区でも栽培されていて7、8月に収穫されます。
さらに近年、南部の恒春でも土壌が砂地の地域で栽培されるようになり、台東よりも半月ほど早く実るそうです。
品種
現在、台湾のバンレイシには、「大目釋迦」と「鳳梨釋迦」という2つの品種があります。
大目釋迦(シュガーアップル)

皮がお釈迦さんの頭のようになっています。果肉は雪のように真っ白く、ジューシーでクリーミーです。
とろりとしたとろみや粘りと共にシャリッとする石食感(梨のような食感)でとても甘いですが、ほのかな酸味もあってさわかやな味わいです。
鳳梨釋迦(アテモヤ)

「バンレイシ」と森のアイスクリームと呼ばれる南アフリカ原産の「チェリモヤ」を掛け合わせたフロリダで品種改良された品種です。
ジューシーで甘く、パイナップル(鳳梨)を感じさせる酸味と香りが特徴です。
下は、サイズがちょっと大きめの恒春産の大目釋迦(シュガーアップル)です。


台湾の友人が1月末に台東に鳳梨釋迦(アテモヤ)の収穫のバイトに行ったのですが、帰って来た時に下の写真の鳳梨釋迦(アテモヤ)を持って来てくれました!

バンレイシは熟れると自然に実が割れて崩れてくるのですが、
もらった時はすでに熟してました!
熟すと包丁なしで手で割いて食べられます。
ただ、糖度がとても高く、手がべとべとします。
ちょっとだけドリアンみたいな生臭さを感じましたが、口当たりがまろやかで口に入れると溶けるバニラアイスのように柔らかいです。

とっても甘いんですが、酸味もあって爽やかでついついパクパク食べてしまいます。
種は硬くつるつるしていて、種ごと口に入れた時、個人的には柔らかい実との食感の違いにちょっと違和感を感じます。
私の日本人のある友人は、食べて嫌いになったそうです。

って言ってました。

種には毒があると言われていますが、溶けて口に滑り込むかのような実と一緒に、つい飲み込んでしまう事があります。
私は口に入れて実を食べてから、種だけペッと出すような方法で食べていましたが、
種は先に取ってから食べる方がいいかもしれませんね。
栄養
タンパク質、炭水化物、カリウム、カルシウム、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンC、マグネシウム、リン、鉄、食物繊維を含みます。
注意
糖分が高いため、糖尿病の方やダイエット中の方は食べ過ぎに注意してください。
保存方法
追熟させる場合は常温で保存し、熟したら冷蔵庫に入れて保存します。
青い状態で冷蔵庫に入れて冷やすと、低温障害により実が硬く黒くなり、味や食感が落ちてしまいます。
理想の保存温度は20℃くらいです。数日間、追熟させます。
下の写真は、「生(青い状態)」と「熟(完熟)」の比較です。

果皮がやわらかくなり、右のように表面に黒ずみが出て来て甘い香りがするようになったら食べ頃です。
台湾でなら、安くて世界一美味しいバンレイシが食べられます!
今後、機会があったら試してみてね。
日本で買えるの?
沖縄では一部の地域で栽培されています。
青いうちに収穫して出荷するのですが、熟すとすぐ実がグニャグニャしてしまうため、それほど遠くへは出荷できないそうです。
時期でネット販売していることもありますがとても高いです。
普段は冷凍品のみ販売されています。