2021年2月26日、中国は3月1日より台湾産パイナップルを輸入停止とすると発表しました。
この突然の禁輸措置に対し、台湾世論では害虫の検出を口実とした政治圧力ではないかとの声が相次ぎました。
これを受けて、日本では台湾産パイナップルを買って支援しようという動きが広がったことはまだ記憶に新しいところです。
中国税関総署は9月18日、このパイナップルの禁輸措置に続き、台湾産の果物2種類を20日から輸入停止とすると発表しました。
今回、禁輸の対象となるのは台湾産のバンレイシ(釈迦頭)とレンブです。
禁輸の理由について中国税関総署は、「今年、台湾から輸入されたバンレイシとレンブに「コナカイガラムシ」という害虫が検出される事件が多発したため」と説明しています。
コナカイガラムシはカメムシの仲間で、見た目の特徴は白く小さいことです。
駆除の際に手などについても人体に影響ありませんが、植物にとりついて生育に悪影響を与える害虫です。
この発表を受けて台湾の行政院農業委員会(=日本の農林水産省に相当)の陳吉仲・主任委員(大臣)は19日に記者会見を開き、「9月30日までに害虫に関する科学的な根拠を提示しなければ、WTOに上訴する」意向を表明しました。
陳吉仲・主任委員はさらに、「中国大陸からの通知文書の日付は9月18日となっているが、実際に通知を受け取ったのは19日の午前9時だった。そして明日(20日)から禁輸するとは、これに政治的な意図があるかどうかは明白だ」と語りました。
台湾の農業委員会の統計によると、2021年の1月~8月において、台湾の輸出したバンレイシは15,485トン(うち15,427トンが中国大陸向け)、レンブは2,335トン(うち2,326トが中国大陸向け)となっており、輸出の95%以上を占めています。
これら果物については、収穫期を迎える冬季(バンレイシは11月、レンブは12月)までにはまだ時間があるため、主要産地である台東県と屏東県ではすぐに影響が及ぶことはないとしていますが、中国側との交渉を求めつつ、検疫の強化、販路の開拓、加工品の開発といった対応策を模索していくとしています。
台湾政府はパイナップル禁輸の時と同様、国内での購入・消費を呼び掛けるとともに、価値観や理念の近い近隣の国々に支援を求めることになりそうです。
まるで1つ1つ「点呼する」かのように、今後、台湾の農産物に対して次々と禁輸措置が取られるのではないかという不安が農業関係者の間で広がっています。
今回禁輸となった台湾産バンレイシについては、下の記事で紹介しています。
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